「工芸回廊」特集・中編 “工芸を楽しむコツ”

金沢を代表する観光スポット・ひがし茶屋街と主計町の町家に工芸作品を展示する「工芸回廊」を紹介する本特集。今回のテーマは「工芸を楽しむコツ」。作品の楽しみ方にルールはありませんが、「作品を眺めるだけでなく、もう一歩踏み込んで鑑賞してみたい」という方に、耳寄りの情報をお届けします。

 

▶︎工芸は、素材と技法の面白さ。

工芸には、陶芸、染色、木工、金工、漆芸など幅広いジャンルがあり、ジャンルごとにさまざまな素材が存在します。たとえば、陶芸の素材は土ですが、磁器用の「石もの」もあれば、「土もの」と呼ばれる粘土もあります。また、光沢や味わいを生み出す釉薬や、色を楽しませる上絵があり、釉薬も上絵の種類も多岐に渡ります。

 

コンテンツ監修者・ガレリアポンテの本山陽子さんは「どういう素材を用いているのか、作家が素材をどのように生かしているのか。素材から読み解いていくと、新たな見方が生まれてくるのでは」とアドバイス。また、“素材との対話”があるのは、油絵などのアートにはない、工芸ならではの面白さだとか。「風合い」「色」「模様」など、自分なりの鑑賞ポイントを持ってみると、より作品を楽しめそうですね。

「作家は展示する場所を見てマッチングを考える。そこで生まれる偶然性も見もの」と語る本山さん

 

素材だけでなく「技法」の面白さがあるのも工芸の特徴だそう。窯から出してみないと分からない陶器や、湿気がないと乾かない漆など、制作には素材ごとに制約が生じます。「制約があるからこそ、新しいことに挑むのが作家。制約された技法の限界に挑み、そこから飛躍するクリエイティビティーを発揮している」と本山さん。

 

工芸回廊は、作家やギャラリストと直接交流できる貴重な機会。工夫した点、苦労した点を質問してみるのもよいのでは。本山さんも「ぜひ話しかけてほしい。質問でも、感想でも恥ずかしがらずにどうぞ」と背中を押してくれました。

 

工芸回廊は、作品と会場とのマッチング、作家やギャラリストとの交流、町並みの散策などなど、いろいろな楽しみがあります。明日からの4日間、みなさまのご来場をお待ちしております!