KOGEIマガジンVol.1 奈良宗久さん

市民がボランティアライターとなり作家やアーティストに取材を行う「KOGEIマガジン」第1回目の今回は、茶道裏千家今日庵業躰 奈良宗久先生に「金沢みらい茶会」の「青宝茶会」についての お話をお伺いしました。
文章:石村雪枝(金沢21世紀工芸祭ボランティアライター)

奈良宗久(なら・そうきゅう)
大樋陶冶斎の次男に生まれる。
1995年に裏千家今日庵へ入庵し、家元直属の指導者である「業躰 (ぎょうてい)」という役職。 国内外で茶道の指導を行っており、金沢にある茶室には全国からお稽古に通われるお弟子さんもいる。

奈良宗久先生と石村雪枝さん

ー青年世代が茶道を発信 青宝茶会

 

青宝茶会は、金沢青年会議所の茶道同好会が奈良先生監修のもと、数年前から毎年行っているお茶会です。以前は、東山を中心とした町家に地元工芸作家の作品を展示するという「工芸回廊」の企画として開催していましたが、昨年からは金沢21世紀工芸祭「金沢みらい茶会」内の1コンテンツとして行われています。枠組みが変わっても、若手の経済人と力を合わせて、地元の若い作家の作品を紹介しながら行うお茶会であるということは変えずに続けてきているそうです。

 

ー使うことで実感 工芸の魅力

 

工芸回廊では、展示作品を借りて、茶道具として使っていました。それが今の青宝茶会の方法になったそうです。「お茶会で工芸品を実際に使ってみることによって、参加者が初めて作品を手

に取り、その良さを感じていただければ金沢の工芸がさらに盛り上がっていくのでは」と語る奈良先生。

今回の青宝茶会は、前田家ゆかりの寺である宝円寺が会場になっています。前田家は、京都や江戸から工芸を取り入れて、それにより金沢に工芸が広まりました。金沢は茶の湯が盛んであることから、町衆が茶をたしなみ、工芸品を使うことによって、文化都市となっていったそうです。町衆がお茶や能をすることにより発展した金沢の歴史。それを今につなげていくことが青宝茶会のテーマの一つとなっています。「古いことだけが良いことではないが、伝統を知った上で新しいことができると良いのでは。 お茶が盛んという伝統もあり、工芸品や茶道具が地元のものですべて賄える。震災や戦災に遭っていないため家や街が古くからの状態で美しく残っている。金沢の人が当たり前と感じていることを恵まれていると、特に若い人たちに感じてもらえるきっかけになれば」と奈良先生。

 

青宝茶会は茶道の経験がない方など、どんな方でもご参加いただけるそうです。 奈良先生監修のお茶会を体験したい方も、工芸に興味がある方も 楽しめるイベントであることはもちろん、金沢の伝統と、それが未来につながっていく今を感じられるまたとない機会になりそうですね。

 

 

 

前田家の時代から続く金沢の茶の湯文化を感じさせる歴史あるお茶会、青宝茶会。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

 

イベント詳細・ご予約はこちらから

http://21c-kogei.jp/contents/kanazawa-mirai-chakai/id/131