KOGEIマガジンVol.14「どうぶつの形をしたお皿に上絵付けをしよう!」 ワークショップ

市民がボランティアライターとなり作家やアーティストに取材を行う「KOGEIマガジン」第14回目の今回は、11/18(土)にwonderspace白菊で行われたワークショップ当日の様子のレポートです。歴史と伝統ある「九谷焼」の上絵付けを、親子で楽しく参加できるワークショップとなりました。
文章:大橋未和(金沢21世紀工芸祭ボランティアライター)

wonderspace(ワンダースペース)
おもしろいことをしたい!もっともっとやりたいことをカタチにしたい!をコンセプトにみんなでイメージをぶつけ合いながら作品を制作する、石川県在住の作家グループ。

―九谷五彩で自由に上絵付けを楽しむ

金沢みらい工芸部では、会場となるwonderspace白菊で、若手工芸作家が指導を行うワークショップを開催しました。今回取材したのは、くまや小鳥など動物の形をしたお皿に上絵付けをするというワークショップ。幼稚園から小学生くらいの子どもたち11人とその親御さんが一緒に参加されていました。

参加者は初めに、好きな動物の形をしたお皿を選びます。次に、使用する絵具の説明と塗り方の実演を講師の河村澄香(かわむら・すみか)さんが行い、上絵付けがどのようなものかを学びました。使用する絵具は「九谷五彩」といい、青(緑)・黄・赤・紺青・紫があります。赤以外の4色は和絵具(わえのぐ)と呼ばれるもので、焼成前と焼成後では色が異なるため、焼き上がりの色をイメージして塗っていくことが大切です。上絵付けは、まず「呉須(ごす)」と呼ばれる黒色の絵具で線を描き、次に、呉須に被せるように和絵具をこんもりと乗せていきます。ここで注意するのは、呉須を筆でこすらないようにすること。呉須は和絵具を乗せないとお皿に定着しません。しかし、和絵具は焼くとガラスのように透き通った色になるため、完成すると呉須で書いた黒い線もしっかり見えるようになります。

 

―親子で伝統技術を知り、体験する

今回のワークショップは、ただ絵の具でお皿に絵を描くというのではなく、九谷焼の上絵付け。そのため、お皿の表面を筆でこすって色を付けるのではなく、絵の具の表面を滑らせるように、和絵具に厚みを持たせながら塗っていくことが重要となりました。

上絵付けをする子どもたちの表情は真剣そのもの。隣に座っている親御さんと会話しながら、世界に一つだけのかわいい動物のお皿を作っていました。参加した子どもたちに、何が一番難しかったかを尋ねると、「目を描くことが一番難しかった」とのこと。塗り方が普段と異なるため、難しかったそう。しかし、「思っていたとおりに描けたので良かった」と、満面の笑みを浮かべていました。

およそ350年前に、現在の加賀市山中温泉九谷町で誕生したといわれる「九谷焼」。歴史ある九谷焼の絵付けを子どもの頃に体験できたことは、芸術の秋に良い思い出となったのではないでしょうか。

 

取材当日は、子どもたちがお皿に上絵付けをしている部屋に隣接する部屋で、20歳以上の方が対象の「大人の工芸部/My酒器をのみながら作ろう!」ワークショップが開催されていました。

「みらい工芸部」のワークショップは11/25(土)まででしたが、wonderspace白菊では、毎週火・土曜日に陶芸教室、木曜日に上絵教室が開かれています。

また、1時間半程度で作ることができる上絵やロクロ、手びねり・紐作りの体験教室も行われていますので陶芸や上絵に興味がある方、また興味がない方でも一度体験してみてはいかがでしょうか?